コラム
「昔からいびきをかくから体質だと思っている」
「年齢のせいだから仕方ない」
「太ったからいびきが増えたけれど、様子を見ている」
「家族から『寝ていると呼吸が止まってる?』と言われた」
このような経験はありませんか?
実は、いびきは単なる睡眠中の癖ではなく、**睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)**という病気のサインであることがあります。
そして近年、「肥満」と「睡眠時無呼吸症候群」の密接な関係が明らかになっています。
肥満といびきは、なぜ関係するのか?
体重が増えると、お腹まわりだけでなく首まわりにも脂肪がつきます。
すると睡眠中に空気の通り道(上気道)が狭くなり、息を吸うたびに軟らかい組織が振動して「いびき」が生じます。
さらに気道が完全に塞がれると、
・呼吸が止まる(無呼吸)
・呼吸が浅くなる(低呼吸)
・血液中の酸素が低下する
状態が繰り返されるようになります。
BMIが高い方ほど睡眠時無呼吸症候群の頻度は高いことが知られていますが、一方で日本人では顎が小さい、首が細いなどの骨格的特徴から、肥満ではない方でもSASを発症することがあります。
つまり、
「太っていないから大丈夫」
「太ったから仕方ない」どちらも正しいとは限らないのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
SASとは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする病気です。
かつては、「昼間眠いのは、気合いや根性の問題」と考えられていた時代もありました。
しかし、交通事故との関連が報道されたことなどをきっかけに、病気としての認知が広まり、現在では治療可能な睡眠障害として広く知られるようになりました。 十分な睡眠時間を確保していても、
・朝起きても疲れが取れない
・日中の眠気が強い
・集中力が続かない
・会議中につい眠ってしまう
・運転中に眠気を感じる
などの症状がみられることがあります。
「呼吸が止まる」とはどういうこと?
患者さんから、「ずっと呼吸が止まってしまうことはないのですか?」
と質問されることがあります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に舌や周囲の組織が落ち込み、空気の通り道が塞がれることで無呼吸が起こります。
しかし、体内では二酸化炭素の上昇を脳幹が感知し、
「もっと呼吸しなさい」という指令を出します。
その結果、一時的に覚醒して、ぶわーっと大きく呼吸し、再び眠りにつきます。
つまりSASは、
「呼吸が完全に止まり続ける病気」ではなく、睡眠中の気道閉塞によって酸素交換が何度も中断される病気」と考えるとイメージです。
この閉塞性タイプが、SAS患者さんの大部分を占めています。
なぜ昼間眠くなるのか?
無呼吸が起こるたびに、脳は危険を察知して交感神経を活性化(→高血圧のリスクも上がります💦)させます。
重症例では、
1時間に30回以上 多い方では100回近く
こうした「半分目覚める状態(微小覚醒)」が起こることがあります。
つまり、
「8時間眠っているのに、実際には何十回も起こされている」
状態なのです。
その結果、
・睡眠の質の低下
・日中の眠気
・集中力低下
・倦怠感 につながります。
放置すると、いびきだけでは済まないことも
睡眠時無呼吸症候群は、「いびきの病気」ではありません。
研究によって差はありますが、
高血圧:約2〜3倍
心筋梗塞:約3倍
脳卒中:約4倍
交通事故:約2〜7倍
リスクが高くなると報告されています。
また、糖尿病や不整脈、心不全との関連も知られています。
特に、
・健診で高血圧を指摘された
・血圧の薬を飲んでも下がりにくい
・肥満が気になる
という方は、一度SASの評価を受けることをおすすめします。
睡眠時無呼吸症候群の検査・治療について
睡眠時無呼吸症候群の精密検査として、ポリソムノグラフィー(PSG)があります。
一方で、まずはご自宅で行える**簡易検査(アプノモニター)**で評価することも可能です。
当院では、ご自宅で1日だけ行う簡易検査を導入しており、仕事や家事で忙しい方でも保険診療内で比較的負担なく検査を受けていただけます。
検査の結果に応じて、
CPAP療法
生活習慣の改善
減量指導
横向き睡眠などの体位療法
をご提案しています。
「ただのいびきだから」と思っていた症状の背景に、治療できる病気が隠れていることがあります。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
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